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連載 競輪全史が語る 第6回

カント角と決まり手

『急バンクは前有利』は、周長との交絡だった

リード

「バンクが急なほど前(逃げ・捲り)が残り、浅いほど差しが決まる」——競輪ファンに広く共有されるこの説を、全史データで確かめた。カント角で走路を分けて1着の決まり手を数えると、確かに勾配が現れる。だが——。

浅い(〜29度)浅い(〜29度) 逃げ 20.1%20.1%浅い(〜29度) 捲り 26.4%26.4%浅い(〜29度) 差し 53.5%53.5%N=20,768標準(29-32度)標準(29-32度) 逃げ 23.8%23.8%標準(29-32度) 捲り 30.8%30.8%標準(29-32度) 差し 45.4%45.4%N=99,389急(32度〜)急(32度〜) 逃げ 24.0%24.0%急(32度〜) 捲り 31.1%31.1%急(32度〜) 差し 44.9%44.9%N=149,899逃げ捲り差し
出典: 輪報データベース

見かけ上は、俗説どおり

カントが浅い(〜29度)走路では差しが53.5%を占め、急(32度〜)な走路では差しが44.9%に下がる。数字だけ見れば「急バンクは前有利」は正しい。しかし、この分け方には落とし穴がある。

「浅いカント」の正体は、500mバンクだった

カントが浅い(〜29度)会場を調べると、その全てが周長500mのバンクだ。500mは一周が長く道中で脚を溜められるため、そもそも差しが決まりやすい(本連載の第3回で見たとおり)。つまり「浅いカント=差し」の正体はカントではなく周長の効果——両者が完全に重なっているために、カントの手柄に見えていた。

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